相続財産の評価の際、うちの事務所では現地調査をきちんと行うこととしている。
聞いた話では、他の税理士事務所ではあまり現地調査を重視しておらず、公図などでデスクワークで済ませてしまうことが多いというが、これは非常に危険なことである。よく知っているのであればともかく、見たこともない土地を書類だけで判断することには多くの問題があるのである。今日はそんな話をしてみよう。
相続の仕事をするようになってからすでにずいぶん経つが、数回、図面の記載ではまったくわからなかったと思われる事案に遭遇した。
多くの場合、それは、段差や傾斜などの立体的な問題点である。当然、平面図には現れてこないわけだが、正面路線の判定や、がけ地補正などで、金額にたいへん大きな影響を及ぼすことになる。一度は、固定資産税の評価の間違いを発見し、更正してもらったこともある。立体的に見ると、とうてい間口にはなりえないようながけの下の道路を正面路線として固定資産税の評価がなされていたのである。
さて、図面が立体を表しきれていないのが最大の問題ではあるが、さりとて問題はそれだけではない。他にどんなところに留意するべきかを思いつくままに書き連ねてみよう。現地調査をするときのチェックリストにでもなればさいわいである。
①先ほど述べた高低差
②公図が現況とまったく違う!
これは、原因が二種類あって、一つは公図が古い場合、もう一つは開発工事が公図に反映されていない 場合である。いずれにせよ、これでは公図でやりようがない。測量するしか方法はないのである。
③水路や農道(赤道)が評価対象地を分断している。あるいは、図面上で正面路線と見えた道路が、実際には間口になりえない。たとえば、道路と対象地の間に図面になかった水路が存在し、橋がないと通れない、なんてことがある。
④高圧線や、電線が敷地を横断していて、建築を制限している。同様に、地中を私的な下水管が通っていて、基礎がうてない。ありえないと思うだろうか?実は、私の自宅のある土地がそうである。現在の住宅を作るときに、たいへんにもめて苦労したものだ。
⑤臭いや、騒音がすごい。また、ビルの隣地で、日照が阻害されている。
⑥となりに地図ではわからなかったお墓や社・地蔵などがあって、使用に問題がある。
⑦道路の幅員が狭すぎて、セットバックの必要があるため、建築制限がかかる。斜線規制などもあるので、道路はしっかりと調べておく必要がある。
だいたいこんなところだろうか。実際に家を建てようと思ったらどんなもんだろうか-----という感覚がたいへん重要である。他にも、現地で確認すべきこととしては、使用者が所有者と異なる場合の利用状況(借地権を控除できるか、貸家建付地をフルで使えるかなど)、市街地農地等などでは、盛り土をするとした場合の容積はいかほど必要か、などがあり、結構な大仕事なのである。
最近は、広大地の評価の話をあちこちで聞かされる。不整形地と同様、評価がかなり落ちるので、税務署も目を光らせているところだ。広大地についても、近隣の様子をよく見ておかないと、あとでもめるとかなり面倒なことになるのだ。
いつも言うことだが、税理士はリスクと隣り合わせの仕事をしている。
常に、細心の注意を払い、謙虚に、誠実に、業務に取り組むべし。そして、必ず、きちんと証拠を残すこと。現地を写真に残すことをぜひ、おすすめする。