来料加工をめぐる顛末

August 11, 2012 11:09 PM
Category:[国際租税法]


来料加工―

知らない人は全く知らない言葉であろう。

「来料」もともとは、中国における関税法上の概念ということらしいが、中国進出する製造業に新風を吹き込み、一世を風靡した概念である。

要するに、香港に統括会社を設け、トンガンなど中国内地に法人格のない工場を設置、香港の会社は、一般的に工場の賃借契約と経営請負契約を締結しておき、工場に製造機械等を搬入して材料を無償供与し、生産物をすべて引き取る。品質や原価管理、工程管理(納期を含む)に目を光らせ、香港完全主導のもとでロスを極限まで低下させなければならない一方で、製品の販売による利益はすべて香港本社が獲得できるわけだ。材料製品の行き来は、密封された状態で行われ、物流は存在しているのだが、伝票上は香港に所在し、関税と増値税を免税されるという香港中国政府公認のパッケージ商品である。

おもしろい試みで、中国は技術力のなさを得意の人海戦術とローコストでカバーし、香港は英語力とビジネスインフラの優秀さを売り物にする。日本からはノウハウと世界最高の技術力・製造管理能力を持ち寄る。

この夢のスーパー戦略が、バブル崩壊後の不景気に苦しむ日本の製造業を席巻したのはまことに無理もないことのように思えるのは、わたしだけであろうか。

国際租税法の考え方について

August 5, 2012 09:43 PM
Category:[租税]


ここ2年くらいの国際租税法関連の社会の動きはたいへんに激しい。

①内外企業のグローバル化で、これまでになく企業の実践実例が増加し、我が国の法律のすき間を問うような動きが多数出てきている。これは、企業が租税回避行為を積極的に行っているというよりは、裁判所に判断を委ねすぎる内閣国会の怠慢(機能不全)である。判例が激増しており、裁判所が法律の穴だね、という判断をするしかない事例も少なくない。

②法律が機能不全なのであれば、やむなしというところか、条約・租税協定の締結がすごい勢いである。損保ジャパンが国側に勝訴したガーンジー島やら、ケイマンやら、片っぱしからタックスヘイブンをつぶしにかかっている感すらある。財務省の租税条約一覧をご覧あれ。

さて、「国際租税法」などと呼称される学問分野であるが、別にそんな法律があるわけではない。また、国連やOECDが定めたルールが、いわゆる「法」としての強制力をもつようなことも、夢物語か、少なくとも時期尚早である。

国際租税法というとき、これは、一国の立場から国内の法律の一分野として、国際的な取引に関する租税をどのように取り扱うかを寄せ集めて議論している極めて現実的・実務的な分類なのである。