大企業はもはや過去の遺物となった引当金制度。
退職引当金の取り崩しもあと3年くらいで終了する。
しかし、中小企業の場合には、租税特別措置法によって貸倒引当金の法定繰入率を使用することが引き続き認められている。
卸小売業…1%
製造業…0.8%
金融保険業…0.3%
割賦販売小売業…1.3%
その他…0.6%
こんな率を期末の売掛金残高に掛け合わせて、貸倒引当金を計算する。
今まで貸し倒れの実績がない人も、これによって少しだけリスク処理を認めてもらえることになる。
さて、二つ以上の業種を行っている場合、どれにあてはめることにすればよいか。
このような場合、条文を見ると答えが書いてある。
「法人の営む主たる事業がいずれに該当するかに応じ」割合を定めると記載されている(租税特別措置法施行令33条の9)。
ということは、複数ある場合でも、「主たる事業」が何かを考えて、それであてはめなさいというわけだ。
「主たる事業」とは何か。
条文にはこれ以上何も記載されていないので、その意義が問題となる。
そもそも、業種に応じてこのような率が決定されたのは、過去の統計などに鑑みて、経験的に業種と貸倒率の相関関係がみられることに由来するものである。複数ある場合にいちいち業種ごとに引当率を設定するのではたいへん面倒であることから、もっとも残高の多い業種の率を全体に援用してよいことにしたものであると考えられる。
とすれば、売掛金の内訳を調べ、業種で区分した場合の金額の比率を見て、最も大きい残高を有する業種こそが「主たる」事業であると考えるのが合理的である。
よって、業種別に区分した売掛金の残高の多少によって「主たる」かどうかを区別するのが正しい、と思われる。
簡単だが、法律の解釈の仕方を実践してみた。
このように、法の趣旨に遡って文言を解釈するのが「論理解釈」と呼ばれるものである。
文言をしっかりと材料にする「文言」解釈と並ぶ、重要な解釈方法である。
決算のとき、「在庫お願いします」と、
会計事務所から言われて、在庫表を作りますね?
あれって、いったい何なんでしょう?
小難しい言葉ですが、税法には「費用収益対応の原則」という大原則があります。
まず、年間の売上を確定させ、費用はその売上に対応関係のあるものだけが計上される、ということです。
今年仕入れたものであっても、年度末までに売れ残り、来年の売上になるもの。
これが「在庫」であり、「棚卸資産」なのです。
このことから、次のようなことが導かれます。
①単価を入れるときは、原価で計算します。
②自分の店にはなくても、売上がまだたっていないものは数えなくてはなりません。
③在庫が多くなると、課税対象となる利益が増えます。
いろいろ考えていると、頭がゴチャゴチャになってしまうお客様が多いですが、
ときどき、このページをみて、思い出してくださいませ。
応用編
実はこの「費用収益対応の原則」というのは、いろいろなところに関係してきます。
固定資産の減価償却費。
固定資産の購入費用は、たった一年の売上に対応しているわけではありません。そこで、使用期間に応じた金額だけが費用とされるのです。
試験研究・新規ビジネスの立ち上げなどの繰延資産。
売上につながるまでは、じっと我慢の子。費用にしません。ただし、一発経費で落とせる場合もありますので、ぜひ担当者にご相談ください。
建設業の仕掛り工事・製造業の仕掛品。
未完成工事の費用は、工事の収入が立っていない以上、費用として計上することができません。製造途中の半製品なども同様です。この辺りは、税務調査では念入りに調査されます。余計な心労を増やさないように、決算期末辺りはあらかじめ細心の注意が必要です。できれば、工事台帳などで管理されることをおすすめします。ご自分では自信がない方は、ぜひ私をおよびください。後から問題にならないように、丁寧に指導いたします。
家賃や保険料・リース料などの前払い。
店舗などをお借りの際は、賃貸借契約を結んでおられるでしょう。通常、家賃などは前払い。そうすると、最後のひと月分だけは注意が必要。いつの分かをよくみてくださいね。ただし、これも経費に落とすことが可能な場合があるので、当方にご相談ください。
疑問・質問
Q.単価がわからないときはどうしたらいいの?
どのような商品を扱っていらっしゃるかによって、変わってきますが、モノの個性が重要なものでない限りは、基本的に「最終仕入原価法」といって、最後の納品単価ですべてを計算してよいことになっています。ですから、今の貴金属やガソリンのように右肩上がりで値段が上がっているような場合には、比較的に税金が割高になってしまう傾向にあります。
今日は、ここまで。
お疲れ様。