先日、協同組合法のセミナーがボルファートで開催された。
歴史上、今ほど法規制が大変革を遂げたことはない。
自由化と、規制強化と、
両者がないまぜとなって、
私たちの業務周辺領域を変革しつつある。
当社は今、合併事案を2社、抱えている。
企業の組織再編がおもしろいという話は、何度となく、ここで述べた。
株式交換の妙味、というタイトルで、以前にもその合法的な節税効果について
述べたところでもある。
さらに、営利法人から協同組合への組織再編も1件抱えている。
これも、クライアントのユニークな特性を極大化するために、
私がプロデュースした企画であるが、
協同組合を選択したのは、その特異な優遇措置にある。
不動産取得税・登録免許税・固定資産税がかからない?
法人税率が安い?
事業分量配当金制度によって、配当が損金算入される?
なんだ?それは!
そう。それが協同組合である。
民法法人とは違う、れっきとした法人組織である。
しかも有限責任。
先日、お話したLLPも、おもしろい法人の組織だ。
有限責任でありながら、法人格ももち、まったく課税されない法人。
パス・スルーといい、その利益は、構成員に飛ばされる。
まだ、実例はないが、信託も面白い。
なんたって、個人でも、損益が個人所得と分離されて法人税課税となる。
有限責任である。
12月1日から、一般公益法人税度が解禁された。
人格なき社団や一定の一般公益法人は収益事業のみの課税となる。
おもしろい。
法人を作るのに、株式ですか?と問う時代はとうに終わりを告げた。
NPOですか?公益法人ですか?
LLPですか?協同組合ですか?
個人事業ですか?信託にしますか?
ペイ・スルーの特定目的会社というのもある(資産流動化法)。
本店の場所を日本にしますか?外国でなくてよいですか?
あなたは非居住者ですか?居住者ですか?
外国人がクライアントの場合には、国際課税のマトリクスが増える。
まさに、複雑怪奇。
私のような、なんでも屋には、まことにうってつけの世の中になった。
仕事の仕方も多様である。
記帳代行?
税務顧問?
会計監査?
申告書作成?
資金繰り指導?(MAS監査)
コンサルティング?
事務員の派遣?
税理士の派遣?
プロジェクトスキームをお望み?
経営計画?
原価管理?
企業買収?
新規事業?
技術の発展によって、WEB上で、会議をすることも可能となった。
居ながらにして、私はWEBカメラであなたと話をすることもできる。
時代は、刻々と変化していく。
楽しいような、それでいて心配なような?
ほんとうに、おもしろいシャバである。
地方税が高くなった…そんな声がそこここで聞こえてくる。
税源移譲によって、国税と地方税のバランスが大きく変わったためである。
個人の場合には均等割の金額はそれほど大きいものではないが(1千円+3千円)、
法人の場合には最低で標準税率合計7万円である。
これが資本金1000万円を1円でも超えると、とたんに5万円+13万円で18万円が標準税率ということになる。
昨今は、建設業などで赤字の法人が多い。
法人税の税収が前年対比で伸びているのは事実だが、
実際にはパレートの法則よろしく、3割の企業が7割の所得を稼ぎ出しているような状態なのだ。
そこで、少しでも無駄な出費を避けるために、均等割の税額を下げることができないものかを考えたいところである。
しかし、資本金は、登記事項であるため、減資手続きを取ろうとすると登録免許税や司法書士の費用など、登記代がかかる。
そして、資本金の減少は、債権者に影響があるということで、減資公告を官報に載せたり、知れたる債権者の承諾を得たりするなど、ほぼ2カ月の期間を要する。文句があれば、即金で支払いをする必要もある。
さらに言うなら、実際に払い戻しをする実質減資の場合には、多大な出費を伴うことにもなりかねない。
さて、考え方を柔軟にしてみよう。
要は、均等割を下げたいのだ。
そこで、地方税法をめくり、均等割の課税標準を調べてみよう。
そうすると、「資本金」ではなく、「資本金等」の金額によって税額が決定されていることに気づくだろう。
市町村民税につき、地方税法312条、292条1項4号の5
道府県民税につき、地方税法52条、23条1項4号の5
この「等」とは、法人税法施行令の8条に詳しく記載されているが、要するに、登記上の資本金だけではなく、それ以外にも均等割の課税標準を決定するファクターが存在するということなのだ。
まず、気をつけなければならないのは、実際の払い戻しをしない形式減資の場合には、「資本金等」のプラス項目として、減資差益が入っていることだ(1項13号)。
たとえば、1500万円の資本金を払い戻しをせずに1000万円に減資してみても、 差額の500万円は減資差益であるから「等」に該当し、資本の1000万円と合わせて、結局1500万円のまま変化していない。この場合には、「資本金等」がやはり1500万円として均等割は高いままであることになる。
しかし、同8条1項には、マイナス項目もある。
1項20号に記載されているとおり、自己株の取得をした場合の取得資本金額は、直接「等」に組み込まれて、資本のマイナスファクターとして働く。
新会社法の制定により、自己株式は資本の払い戻しであると定義づけられたため、登記せずとも「資本金等」を変化させる簡便な方法が認められたのだ、ということができる。
利益が蓄積され、株価がもとよりも高くなっている会社はこの方法は難しい。
なぜなら、払いだしたお金はすべてが資本金の払い戻しであるということではなく、
一部はプロ・ラタ計算で、利益積立金の払い戻しとしてみなし配当の問題となるからである。
また、建設業については、純資産の部に直接的な変動を及ぼすため、経営審査との兼ね合いでよくシミュレーションを行ってから考えないと、ランク落ちということもありうる。
会社法の改正は税法にも大きな影響を及ぼしている。
勉強するといろいろ面白いものである。
売ります・買いますが大流行の今日この頃、
事業を売却するときの目安を考えてみよう。
高校生のときの数学がとっても役に立つ瞬間。
たとえば、ガス屋さんがお客さんを一件、同業者に売却するとする。
そのお客さんが粗利ベースで毎年、Dの利益を稼ぎ出しており、かつ、
しばらくは他に移ることもないだろうと想定されるならば、
金額は、市場の金利を r として、次の計算式で算定される。
D ÷ r
たとえば、そのお客さんの貢献する粗利益が年間5万円、金利が10%とすると、
5万円÷10%=50万円
ということになる。
実に簡単な式だが、これは、無限等比級数の計算式を応用しただけである。
1年後の5万円は、現在10%で割り戻すと、5万円÷(1+0.1)=45,454円
2年後の5万円は、45,454円÷(1+0.1)=41,321円
3年後の5万円は、41,321円÷(1+0.1)=37,564円
4年後の5万円は、34,149円
5年後の5万円は、……
と無限に計算して、全部加えると、50万円になるのである。
証明をここに書くのは、記号がうまく使えないのでやめておくが、∑の計算ができる人はやってみよう。
もしも、10年はお客さんでいてもらえるだろう、と見込めるならば、10年の計算結果を合計すればよい。
数学は役に立たないという人がいるが、間違いだと思う。
建設業の方たちが、法面(のりめん)の計算にヘロンの公式を用い、三角関数を使い、川の流れの計算に物理の公式を使用しているのが好例だ。
また、コンサルティングには、データの分析上、エクセルのTREND関数を用いたりするが、あれは、モデルが線形であると仮定した場合の傾きの算定である。傾きは、曲線の方程式を微分することによって求めることもできる。また、ものの考え方として、貫く軸が特定できると、積分によってある事柄の体積を測定することができる。
会計の世界には、比較的、算数や数学が必要なことが多い。減価償却が典型であり、級数法(sum-of-the-years'-digits method)などを使うと、こりゃあ数学だなあ、と強く感じられる。
私はどちらかというと、幾何系が得意なのだが、これは算数で鍛えられたものだ。代数系は抽象理論を扱うことも多く、できが良くない人間にとってはちょっとつらい時もある。
数学は大切だ。
思考能力の涵養にあっても、実利面においても、数学の存在価値は測りきれない。
借入をしようとするとき、金融機関からは決まって
「決算書と試算表をください」
などと言われる。時にはもっと様々な書類を要求されることがあるだろう。
そのような場合はいったいどこまで提出する義務があるのか。
今日は、そんなことを整理してみようと思う。
会社法をつらつらと眺めていると、ところどころに株主や債権者、親会社の株主などの書類閲覧謄写請求が散らばっている。案外とわかりにくいところであるから、頻度の高い「債権者」に限って、まとめてみる。
①定款
債権者は、営業時間内はいつでも、謄本を請求できる(会社法31条2項2号)。会社が費用を定めているときはその支払いが必要である(同31条2項但書)。
②株主総会議事録
債権者は、営業時間内はいつでも、謄写を請求できる(会社法318条4項1号、創立総会の場合は81条3項1号・82条3項1号)。コピーさせてください、ということだから、費用はもらえない。コピーを作成して渡すなら、費用をもらってもいいだろう(私見)。なお、種類株主総会の場合にも同様である(325条による準用)。
③株主名簿
債権者は、営業時間内はいつでも、謄写を請求できる。この場合、理由を明らかにしてしなければならない(125条2項・同項1号)。目的が正当でないときは、会社は拒否ができる(同条3項各号)。権利行使や権利確保のために必要な場合ということなら拒否できないのだが、会社が正常なときは拒否できるものと思われる。
④取締役会議事録
債権者は、役員・執行役の責任追及のために必要なときは、謄写を請求できる。この場合、裁判所の許可が事前に必要である(371条4項)。裁判所は、機密の漏れが著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときは、許可してはならない(同条6項)。
⑤監査役会議事録
債権者は、役員の責任追及のために必要なときは、謄写を請求できる。裁判所の許可が必要なこと、許可の条件が定められていることについては、④と同じである(394条3項2項・同条4項)。④と異なり執行役は監査役会設置会社にはありえないので、④と少しだけ違うのだ(327条4項参照)。
⑥委員会議事録
債権者は、委員の責任を追及するために必要なときは、謄写を請求できる。裁判所の許可が必要なこと、許可の条件が定められていることについては、上記と同じ(413条4項3項・同条5項)。
⑦会計帳簿
株主ですら原則3%以上保有していないと閲覧できない少数株主権である。債権者には、閲覧請求権はない。
⑧いわゆる決算書(計算書類等)
債権者は、営業時間内はいつでも、謄本を請求できる(442条3項2号)。費用を定めているときは、支払いが必要である(同項但書)。
⑨いわゆる試算表(臨時計算書類等)
実は、正式な「臨時計算書類等」になるためには、業務担当取締役が作成し、監査役の監査を受け、取締役会で承認し、株主総会の承認を受ける必要がある(441条)。取締役会設置会社で会計監査人が無限定適正意見を付した場合だけ、株主総会が不用になるが、たとえば、監査役もいない、取締役会もないということであれば、株主総会の承認が必要になってしまう(同条4項3号)。
この意味の臨時計算書類等は、年次の決算書と同様の効力が与えられている(配当の計算など)。債権者も、費用を払って、謄本を請求できることになる(442条3項2号442条1項2号)。
普通に作っている月次の試算表は、単なる会計帳簿の一部か、法的には意味のない書類に過ぎないことになるのだ。ということは、銀行に渡す義務はないということになる。
長々と説明してきたが、債務者としては弱い立場である。また、決算書の内容を説明する際に、減価償却の内訳や固定資産の内訳についても説明する必要が出てくる。
また、利益相反取引や重要な財産の取引、多額の借財などについては、本来は取締役の一存では決められず、取締役会の決議が必要なため(365条1項356条、362条4項1号2号など)、銀行から議事録を要求されることもある。裁判例の中には強気に拒絶した債務者の例もあるが、たいていは素直に出しているようである。
中小企業では軽視されがちな議事録だが、一つ一つきちんと書面で残していってほしいものである。