内部統制とか、J-SOX(ジェイソックス)だとか、ここ一年くらい、耳にたこができるほど聞かされた。
いい加減、うんざりしてしまうのは、わが社でも内部統制がいまいちだから、耳が痛いのである。
えっ、知らない?
うーん、それはちょっと問題ですよ(^^)。
新会社法の中で、取締役会の必要的な決議事項とされたのがことの発端である。
あれよあれよという間に金融商品取引法(昔の証券取引法)に導入され、
監査法人の監査対象にまでなってしまった。
要するに、会社は法令遵守(コンプライアンス)が当然であるが、ただ口で言うだけではなくて、経営者の思いが社員の爪の先まで透徹するように、もともと組織作りされていなければならない、経営者はそのような組織づくりやITプログラム作り、業務づくりをしなければならないということだ。
考えてみれば、これは実に当たり前のことで、組織である以上、組織としてのルールがあって、それをきちんと社員たちが守るように、経営者が監督しなさい、ということにすぎないのである。
偽装問題が出てくると、きまって社長は「知らなかった。」「従業員が勝手にやったことだ。」などと言うが、そんなことは許されないということだ。
税理士業界では「税理士法」という法律があり、もとより内部統制について定めてある。
そもそも税金に関する仕事は資格のある税理士にしか許されていない。
とはいうものの、税理士が一人ですべてを行うことも不可能であるから、従業員を雇用して業務をさせる場合には、彼らをきちんと監督して、正しい仕事をするようにしなければならない。
笑い話で、「俺じゃなくて、オフコンが間違えたんだ!」などという逃げ口上を放つ税理士がいたというが、仮に機械が間違えたのであろうと、社員が間違えたのであろうと、すべては税理士の責任である(民事責任)。
社員が勝手にやった仕事だとすれば、それ自体がすでに税理士法違反であり、見逃した先生も、やった社員も御縄頂戴という刑事事件にまで至ってしまう。
私たちの業界では、内部統制は当たり前のことなのである。
とは言いながら、ときどきヒヤリとすることがあるのも事実だ。
うちの事務所は全国的にみても比較的大規模な事務所に入るに違いない。20人を超える実働人数はおそらくは全国的にもそうそうないと思われる。これだけ大きいと、目配りするのがたいへんである。
コストを極限まで下げた記帳代行契約の場合はともかくとして、ハイレベルな業務についてはメリハリをつけてしっかりと見るようにしているところだ。
怖くなるのは、私が重要であると思う業務を社員が軽んじていることに気づいたり、私がどうでもよいと思う業務を社員が一生懸命にやっているのを発見したとき。
ちょっとしたことだと思ってはならない。
この意識の差こそが、内部統制のゆるさであろう。
氷山の一角という言葉もあるのである。
年末にいちおう、父から2代目を受け継ぐことが決定した。
名前だけではなくて、本当にこの事務所の所長としてふさわしい、人格と、能力も身につけていきたいと思っているが、どうも焦ってはいけないようだ。
だましだまし、この大きな事務所をハンドリングしていかなければならない。
しかし。正直言って、今の私は「軽い」。
優先順位をつけて仕事をすると、一番最初に斬って捨てられる。
社員にとってみれば、自分は正しい仕事をしているのである。
先生は、面倒なことと難しいことしか言わないので、
話を聞く必要はないのである。
内部統制とは難しいものだ。
日本的な発想になじみの強い人たちは、世の中が実質主義でなく、形式主義に変化しつつあることが分からない。
真実が何かということはもとより重要なことであるが、
それと負けず劣らず、形式が重要であるということを理解していない。
もちろん、「正しいこと」をしていればよい。
しかし、不幸にも他人に疑われたとき、誠意自体が疑われたとき、「私は正しいことをした」だけで通じるか。
ガラガラと崩れ去る足場を食い止める最後の砦は、実はプロセスの正当性なのだ。
プロセスを軽視する人はあぶない。いつか必ず痛い目に逢うことになる。自分だけが苦しむならよいが、他人を傷つけてしまうことになったらたいへんだ。お客さんを傷つけたらもっとたいへんだ。
なぜ、そう判断したのか。
誰がそのデータを提供したのか。
その事柄を決める権限は誰にあるのか。
だれがその責任を負うのか。
あとで正当性を証明できるか。
私の事務所は、クライアントに対して、誠意をもって仕事をする。
これだけは、死んでも譲れない。
そのためには、実質だけをごり押しするのではなく、プロセスで正当性を証明する。
内部統制もプロセスの一つだ。
まず、当社からしっかりとしていかなければならないと痛感した。
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.ex-brain.jp/mt-cgi/mt-tb.cgi/197