相続の切れ目がない。
これほどたくさんの相続税の申告をしたことはない。
とめどもなく、情け容赦なく、財産評価やら、相続税申告やら、仕事がとまらない。
相続税は、譲渡所得と並び、税務業務の中では最も困難といわれる花型業務である。
税務、といったものの、
その業務範囲は、実際には民法が入口ででんと腰を据え、
決して、税務だけで話が終わる代物ではない。
挙句の果てに、温泉権やら、農地法やら、都市計画法やら、
さまざまな法律があちこち顔を出すから、
よく考えないで、下手に手を出すと、クライアントに大けがをさせることになる。
今回の相続は、なんと法定相続人が不在のケースだった。
遺言書があり、受遺者はこれまた、宗教法人である。
その宗教法人からの依頼で、今回のケースに遭遇した。
被相続人は、「〇〇家歴史」などという書物が編纂されているほど、
いい家柄の方であるが、傍系では最後の生き残りである。
”The last of Mohican” という映画をふと思い出した。美しい映画だった。
おっと、脱線した。
そうそう、相続人がいないということで、
四十九日に御親族のそうそうたる面々の前で、スケジュールについてご説明したが、
その際、被相続人のお母さんが再婚しておられるところまで戸籍で確認していたので、ひょっとして子供(異父兄弟にあたるので相続人になる)がいるかもしれないという話をしていた。
そうしたら、本当にいたのである。
事実は小説よりも奇なり、という。
母の戸籍とは別に、不思議なことに赤ん坊が戸籍の筆頭者である戸籍謄本が見つかり、
あとから母親の戸籍に編入されていたのである。父親は不明。
戦時中は、日本もよほどたいへんだったのであろう。
親族の噂では、被相続人は、本当の子ではないかもしれないなどという話もうかがうが、
神ならぬ身、私は戸籍の通りに仕事をするしかない。
さて、遺書が家庭裁判所の検認を受けて、帰ってきたとしよう。
事務所としては、自筆証書遺言の形式に欠けるところもなさそうであるという結論に達した。
申告はどうするか?
異父兄弟は、遺留分がないから、
遺言が有効であれば、相続財産のすべては宗教法人に帰属する。
宗教法人は、寄付を受けても法人税の非課税である。
相続税は?
相続税も個人を名宛人とする租税であり、法人は原則として納税義務者にならない。
何か、こんなような事件をテレビでやっていたそうだが、
実は、このケースでは、所得税の問題となる。
所得税法に59条という条文があり、
個人から法人への経済的利益の移転を譲渡所得とすることとしているのだ。
もちろん、故人の財産に、譲渡所得になるような土地・株・自動車などが含まれていなければ、所得はないので関係ないが。
さて、今回の事件は、財産の確定がまだ終わっていない。
よって、準確定申告がどのようになるのかについてはまだ不明である。
しかし、相変わらず、うちの事務所に来る事件は、難事件が多いのである。
実は、遺産分割が簡単なはずの今回の事件は、
別にもっと恐ろしい問題を内包している。
私は、これ以上、ここで触れるつもりはないが、
崎山税理士事務所は、夜も寝られないのである。
疲れるな~。もう、3時だし。
泣き言を言いたくなる、つよしくんである。
こんな私を、どうか、許してください。>All
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